前回セミナーに来て頂いた多くの方々に感謝しております

加賀妻工務店は、法人になって4Ⅰ年の工務店です。私が加賀妻工務店に来てもう20年、ずっと営業の仕事をしてきました。私が営業として実践の仕事をしてきたことは、お客様の気持ちが解り、社員や現場で働く職人達にも上手に伝える事も出来ますし、お客様の立場に立った物の見方、判断が出来ます。
会社造りにも欠かせません。なによりも、他人任せにはしないで、人のせいにはせず、
私が素直な気持ちで責任が取れる会社造りをしてきました。
社員は16名、年間に23棟前後の注文建築をしております。おかげさまで、経営は良好です。
無借金で経営しています。まずはご安心下さい。
正直に真面目に一生懸命に家づくりをしてきました。無理やりお客様の予算に合わせる為の図面を書くことや、素材や仕様を落とし、職人や大工の手間賃まで削ってまでも仕事に結び付けようとは思いません。営業で追いかけてまで仕事に結び付けようとすることも望みません。なぜなら価値観の合わない仕事や、方向性の違う仕事は、まとまらないからです。加賀妻に来て頂けるお客加様もそれを望んでいないと感じています。加賀妻はどちらかと言えば、営業は不器用な職人の集まりかもしれません。これでも良いのかと、不安になる時もあります。でも最終的には 家づくりをどこに依頼するかを決めるのはお客様ですから、選ばれる工務店になりたい、そう努力して行けば良いと考えてきました。
加賀妻工務店の家づくりに共感していただけ・納得していただけ、設計にも施工にも手間をかけられる。選んでいただける、小さなブランド工務店を目指してきました。設計も施工も外注には依存しないで、自社で設計をして自社で施工を続けています。加賀妻工務店は自立した工務店です。設計者と現場管理者と大工さんが社内にいて絶えず近い所でああでもない、こうでもないと共同作業が出来る環境はとても楽しく、やりがいの有る仕事です、いつも私の廻りで、わいわい、がやがや、やっております。自社で設計をして自社の大工で施工することが良い意味でのコストダウンにもつながりますし、とても楽しいです。
加賀妻工務店は大工を抱え、大工を育てています。
棟梁システムを持つ事は、加賀妻工務店の家づくりの原点です。8チームの組があります。
職人づくりが出来なければ、家づくりは難しいです。現場大工が元請けとしての責任とプライドを持ち仕事をすることが加賀妻の家づくりには欠かせません。お客様が安心して加賀妻工務店に任せていただける。私の約束事の一つです。
家づくりに失敗したと言っている場合のほとんどがあせってしまったというのが原因でしょう。全体のスケジュールが(敷地調査・基本設計から工事完成・引き渡しまでが)短期間でできるという思い込みがあるようです。家は買い物ではありません。家は造る物です。住宅展示場へ見学に行くお客様の最終判断は営業マンで決めていると聞きます。売る。買う。の世界であって、造る事からかけ離れた形になっています。耐震性や温熱環境は確保しつつ、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)に心地よいと感じ取れる、シンプルではあるが、快適な家が一番の住まいだと実感しています。
特に住宅の耐久性に於いて言えば、そこに住まう人が、自分の家に誇りと愛着を持って、末永く不満を抱かずに暮らせる環境を、私達とお客様が造りだせるか、どうかで決まってくるのではないかと考えています。
何が本質かを見極めようとする探求心が最も大切であって、短絡的に広さや設備機器や、
お金の大小ではないと思います。
使う素材も複雑な加工材料は基本的に使用せず、自然に有る物を最低の加工で使う事ではないかと感じています。壊した時には、再利用ができる事。自然環境に負荷をかけずに、土に戻す事が出来る事、燃やした時には有毒ガスを出さない事などは、とても重要な事だと考えています。
まずは、家づくりの考え方は、環境や人に優しく、性能に大きな欠点を作らない家づくり、快適と健康、どちらをまず求めるべきかといえば、やはり「健康」のほうではないでしょうか。
そういう意味では、まず健康に影響がありそうな事に気をつけながら、
そのうえで快適な家を実現していくという順番が正しいと思います。
少し具体的な話。
その1
室内に使う建材について
シックハウスの家は造りたくないと考えた時、情報を入れれば入れるほど、具体的にどうすれば良いか解らなくなってしまいます。ある本を読めばどんな建材も危なく感じてきて、前に進めないとなることもあるし、ある住宅メーカーの人からはF☆☆☆☆だから大丈夫ですよと言われたりします。いったい何が正しいのという感じです。結論は室内に使う材料をシンプルな自然素材にする事です。床なら、無垢フローリングで決まり。いくら、4☆☆☆☆であっても、接着剤がたくさん使われているような合板を使ったフローリングはやめておきましょう。
皆さんが知っておられる、シックハウスの代名詞と言われる、ホルムアルデヒド。居室のホルムアルデヒド許容気中濃度は世界保健機関・WHOの基準値、0.08mg以下に現在の建築基準法は合わせています。
室温23度~25度 湿度40%~70%と条件付けが有ります。建築基準法では無垢材を告示対象外建材、0.005mg以下と位置づけています。F☆☆☆☆建材は、JIS、JASでは、平均値0.3mg以下 最大値0.4mg以下にホルムアルデヒドの発散量を抑えるようにと定められています。
居室の許容気中濃度は規制されているのに、建築材料の規制はされていない為に、この0.005mg以下の無垢材と0.4mg以下のF☆☆☆☆建材がJIS、JAS企画では同等として扱われます。なんと無垢材の80倍の濃度を持った建材なのに。
国の規制が緩すぎます。夏場は温度、湿度、とも上昇します。相当量の揮発性有機化合物が居室に発散されます。
空気中の濃度と人体に感じる症状としては
0.08mg~0.2mgで明らかに臭気を感じる。
0.2mg~2.0mgで目、鼻,喉、に軽い刺激を感じます。
現在の法律では許容気中濃度は0.08mg以下と規制をしていますが、その室内で使用される材料の規制が0.4mg以下では、甘すぎます。要するに、国はいつでも業界には甘く、国民には厳しいという事です。中途半端という事です。
壁は左官材料 珪藻土や漆喰が良いでしょう。断熱材なども石油系の断熱材は極力避けましょう。住宅で使用する建材は、自然界に有る物をなるべくそのまま使う、もしくは最小の加工で使うという事だと思います。上手に再利用出来る材料や、土に返せる材料の選択をしましょう。
その2
F☆☆☆☆という材料の事
いまの平均的な住宅供給者のシックハウス対策についてのアピールは最高等級である建材☆☆☆☆しか使いませんと言うものです。最高等級しか使わない、だったら、安心だと考えてしまう人が沢山います。でもどういう意味で最高等級なのかを調べる人はほとんどいません。家族の健康を守る上で重要な建材選びにおいて、最高等級という言葉だけを信じてしまうのはあまりにも危険です。4☆☆☆☆というのは、ホルムアルデヒドの出てくる量が、ある量以下の建材という意味です。ホルムアルデヒドがゼロという意味ではないし、他の化学部質についてどうなのかはまったく考慮されていません。裏を返せば、
F☆☆☆☆の表示がしてある建材は国土交通省が、ホルムアルデヒドが出てくる恐れのある建材と指定したようなものなのです。つまり、本当の意味での最高等級はホルムアルデヒドが出てくる恐れのない建材なのです。こうした建材は改定建築基準法では、告示対象外というふうに呼ばれ、無垢板などはこれに当たります。そもそも、シックハウスは、接着剤、塗料、殺虫剤を出来るだけ避ける事によって防げます。シンプルな自然素材とは、まさに接着剤、塗料、殺虫剤を使わないか、使ってもごく少量の接着剤が含まれる程度の建材という事です。
表面に無垢板、下地は合板、接着の為に接着剤では意味が有りません。加賀妻では30ミリの厚さの無垢板は接着剤を使用せず、ビスだけで施工しています。将来の再利用も考えての事です。お父さんお母さんが、借金をして建てた大切な家です。50年後 70年後、次の世代で建て替える時が来たら、床はビスだけで止めておけば、再利用も出来ます。
ボンドで固めてしまえば剥がせません。廃棄する事になってしまいます。太い柱や梁も再利用できます。
2002年厚生労働省によって、ホルムアルデヒドを含む計14種類の化学部質
(VOC揮発性有機化合物・常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学部質の総称)
が指定されています。シックハウス症候群の原因として、国土交通省は特定測定物質の5品目を指定しています。
ホルムアルデヒド(室温25度の指針)
VOCの中で健康への影響が一番重大視されているものです。おもに建材・内装材・家具などの接着剤に使用されます。厚生労働省の指針値0.08mg以下
トルエン
シンナーに含まれる有機溶剤の一つ、塗料や掃除用ワックスに多く含まれる。厚生労働省の指針値0.07mg以下
キシレン
シンナーに含まれる有機溶剤の一つ、塗料や掃除用ワックスに多く含まれる。厚生労働省の指針値0.20mg以下
エチルベンゼン
スチレンの合成原料として使用される厚生労働省の指針値0.88mg以下
スチレン
合成ゴム・ポリエステルの原料 塗料の中に含まれる。厚生労働省の指針値0.06mg以下
この暑い時期に住宅展示場のエアコンが故障してしまっていたら、4☆☆☆☆その意味が解ります。
その3
材料は断面を見ないとわからない(集成材)
今の建材は複雑になっていて、表面だけを見ても、どんな建材が使ってあるのかが解りません。表面にごく薄い仕上げ材が貼り付けて有ります。こうした何層もの建材は、当然接着剤が多用されています。一面にべったりと接着剤が使われ、しかもその接着剤が何層にもなったりしています。世の中のほとんどの作り手は建材サンプルの断面を見せることはしません。表面の色と柄を選ばせるだけです。こんな建材選びをする家づくりはなんて薄っぺらなのでしょう。
例えば、代表的な集成材、(ホワイトウッド)は北欧やロシアから運ばれて来ます。
日本は森林資源が大変豊富な国で、先進国の中では森林率でフィンランド、スウェーデンに次いで世界3位の森林大国です。しかし日本の木材供給の8割を占める外材は、大量の化石燃料を燃やし、大気中に温室効果ガス(二酸化炭素)を放出しながら運ばれて来ます。この環境負荷を数値で表したものをウッドマイルズと言います。
その負荷量はアメリカの4倍、ドイツの20倍です。
ドイツのウッドマイルズは17.778km/㎥ 米国は84.152km/㎥なのに対して
日本は364.422km/㎥です。
省エネだ、エコだ、環境だと耳触りの良い言葉で宣伝している大手メーカーであっても、平然と集成材を大量に住宅の構造材として使用しています。
ホワイトウッドに関しては、
・出材する、北欧やドイツでは、構造材では使われていません
・檜や杉と比べると6倍も腐りやすい
・ハウステンボスで建物に使用したら3年でキノコが生えた(腐った)
・独立行政法人森林総合研究所の耐朽ランキングでも「極小ランク」です。
ホワイトウッドが腐りやすい木材である事は木材業者なら誰でも知っています。しかし、大手住宅メーカーを訪れた人には、メーカーは決して事実を話してくれません。
「乾燥され、管理された木材を自社工場にて数ミリ単位で精密に加工し」という説明だけです。木そのもののデメリットを説明しないのです。
高温多湿な日本においては、住宅に使用してはならない木材です。環境面からも大事です。
日本の住宅が全て、木造で日本の木が使用されれば、京都議定書の6.3%の二酸化炭素の排出量は減らせるのです。
集成材をエンジニアリングウッドなどと耳触りの良い言葉で言う人もいます。
その4
見えないところが大事
建材に限らず、プロとしてしっかり仕事をするところは、見えないところを大事にする。
という姿勢を持っています。内装や外装をしてしまえば壁や床の中は見えませんが、実は、家の基本的な性能というのはそういうところで決まってくるのです。耐震性や断熱性や耐久性という非常に大事な性能は完成してから見えているところではわからないのです。
こうしたことを大切にするプロは、とくに見えなくなるところについて丁寧に説明するでしょう。構造見学会を開催しているようなところはこうした姿勢をもったところだと判断して良いと思います。
その5
素性のわかる木を使う
木造住宅は樹が命です。木材を重視しないで木造住宅はあり得ません。良質な樹を買う事です。樹の家という言葉が定着してきました。木造住宅よりも雰囲気があっていい言葉ですよね、だからなのか、猫も杓子も樹の家 無垢材の家と言うような言葉を使って、一生懸命アピールしています。さらには、国産材が良いというムードになってきたこともあって、国産材という言葉もよくみかけるようになりました。では、樹の家だったら、無垢材の家だったら、国産材の家だったら、良い家になるのでしょうか、答えはいいえです。木は自然素材です。自然素材にはばらつきがあります。色も違うし、節の数も違う。乾燥が不十分なものもあれば、強度が足りないものもあります。特にこの乾燥具合と強度がとても重要です。木の家、木造住宅における木に関するほとんどのトラブルはこの2つの性能が不十分であることで起きています。こうした問題を回避するには、作り手が木の事を知り、その木の素性を確かめ(どんなところで育ち、どんなところが加工しているのか)出荷されてくる木を一本一本確かめる姿勢が必要です。加賀妻が仕様する構造材は国産無垢材を扱う工場として全国でも数少ない「機械等級区分構造用製材」JAS認定工場Aタイプの認定を受け、商品にはFIPCの認定を得て、合法木材である証明と共に「原産地」表示を行っている山長商店から直接買い付けています。1999年からのお付き合いです。
一本一本、含水率、強度を計っています。シリアスナンバーまで打たれています。
その6
わかりやすい言葉で説明してくれるところを選ぶ
わかりやすく説明する。というのは非常に難しい事です。浅い知識を言うのではなく、
深い知識をわかりやすく言う、というのが難しいのです。特に様々な分野がまたがる家づくりにおいては、それはとても難しい事です。注文住宅というのは、家を建てるプロが施主の注文に対して専門家の経験と知識を持って対応し、これは出来ない、これはこのようにすればできる。とういことを施主に解るように説明し、合意した事を説明した通りに建てるというものです。この事がしっかり理解できていれば、プロは説明するときの言葉を選ぶはずです。最初にプロと接点があったとき、その人がわかりやすい言葉で説明してくれるかどうかよく聞いておいてください。ただし、わかりやすい言葉というのは耳障のよい言葉というのはまったく別のものであるということに気を付けて下さい。
その7
家づくりは人が行うということ
家の品質は人の手と気持ちによって決まると言えるのかもしれません。きちんとした技術を持ち、『良い家を造るぞ』という気持ちを込めた職人の手による家とそうではない家とでは、結果的に相当な違いが出てくるのは当たり前なのでしょう。そんな職人による家づくりを行っているところか、どうかを確かめるには、建築現場に行くのがもっともよい方法です。
雰囲気でそれは解るはずです。また、その会社の社長さんと話をしてみてください。
ホームページやパンフレットなどを読む中で、ああ、ここは、家づくりを、ものづくりと考えているな、ということがわかる時もあります。しかし、いくら良い職人であっても、ミスをゼロにすることは出来ません、これはどうしようもない事実です。これを補うのが現場のチェックシステムです。家づくりは人の手によるものだと深く理解している作り手ほど、こうした、チェックシステムをきちんと備えているように思えます。
メーカーは家を造るという考えはなく、家を売るという事に徹底しています。だから、大量生産を続けるメーカーは、自然素材を使用して、人の手を重要視する家づくりでは、無く、誰でもが組み立てられる工業製品化された建材を大量に使い、企画化された住宅しか出来ないのです。自然素材の住宅は造れません。
住宅展示場や豪華なパンフレット。それに伴う人件費。いかに早く契約するかを優先し、現場には手間賃を掛けない。利益を追求する。「良い家を造るか」、ではなく、「いかに売るか」を第一優先にしています。工務店には家づくりが大好きな人間が集まります。大手メーカーには安定を求めて人が集まります。この差は大きいと思います。
その8
経験と科学のバランスがとれたところを選ぶ
経験だけに頼るのではなく、かといって科学だけに偏るのではない態度がこれからの私達にとって正しい態度でしょう。日本の伝統的な家は美しく、自然素材をふんだんに使った家であろうことは間違いありません。しかし、地震で壊れやすいことや寒いという事も事実です。こうした弱点を補うのが科学であり、逆に、現代の家にも伝統的な我が国のよさを活かすべき出来でしょう。環境や人に優しく、性能に大きな欠点をつくらない家づくりをしているプロは、経験と科学のバランス感覚に優れています。
その9
要望や健康状態をしっかり聞くところに頼む
当たり前ですが、満足できる家というのは、要望をプロの技術で実現させ、かつ素人が具体的に要望できないような専門的な内容も適切に実現してくれる家です。こんな家が欲しいから、注文住宅にして、しかも良いプロを探したいと思っているのでしょう。
まともな注文住宅を造っている会社は、まず施主の要望をじっくり聞くはずです。とくに健康や環境の事を重視したい施主であれば、間取りや機能、デザインという要望だけで家の内容を決めようとしているわけでは無いはずです。もちろんこうしたことは家づくりの基本的な事ですから、このことも含め、きちんと施主の要望を聞いてくれるところに頼みましょう。
また、きちんとしたシックハウス対策を行おうとすれば、施主の健康状態を把握することが不可欠になってきます。科学物質に過敏な人の家づくりと、そうではない人の家づくりでは、そのレベルは違うものになるのが当然です。
その10
ずっと先まで面倒を見てくれる作り手がいい
家というものは、とても長い時間で考えるべきものです。時間の流れと共に家は少しずつ変化していきます。また家族の状況も変わり、家族構成が変わって行きます。いくら完成した時に満足できたとしても、そうした変化に対応できるようにしておかなければ、将来には大きな不満が出てくるでしょう。本来、家の作り手というものは、そんな変化に対応する責任があります。不具合を直し、小規模なリフォームをし、住まい手の要望が出てくれば増改築をする。そんな、家を守るという仕事がとても重要なのです。しかし、そうした発想を持っていない作り手は沢山います。家を守るという発想で仕事をしている作り手は、積極的にリフォームや増改築をしています。細かいリフォームはもちろんの事、安心・快適な住まいのレベルを上げるための耐震改修や断熱改修に取り組んでいます。そんな技術をもったところでないと、自分達の家をきちんと守ってもらえません。
加賀妻工務店では、お客様宛に当社から自動車と同じように定期点検お知らせを、往復ハガキで出しております。不備、不具合、訪問希望日を記入していただき、返信は加賀妻工務店社長宛となっております。社長がお世話になったお客様のメンテナンスの依頼内容を確実に把握しておきたいとの理由です。半年、1年は、担当監督社員が訪問しております。自分で管理監督した建物の状況をみずからが点検することは当然のこと、また、みずからのスキルアップにもなります。3年、5年、10年、13年、15年、20年はメンテナンス担当のベテラン社員が訪問しております。1年目と10年目には担当大工さんも顔を出しています。サプライズです。新築の仕事を取ることばかりを優先してきた業界。工務店は規模の拡大をする必要もないし、地域で誠実に工務店道を歩んで行けば、お客様も私たちを大切に守ってくれます。
ご縁の出来た、お客様は、工務店の財産、原点です。
信頼関係とは一長一短で出来上がるものではありません。お互い誠意をもって正直に真面目にいつまでも向き合う事です。
感謝の気持ちを忘れてはいけないという事だと思います。加賀妻工務店は今期で42期を迎えました。おかげさまで赤字は一度もありません。無借金で経営を続けています。
その11
いそがせるところはいかがなものか
どんなプロも早く契約したいと思うのは当然です。でも、本当にお客様の事を考え、プロとしてプライドと責任感を持ったところであれば、その気持ちを抑えてじっくりやって行きましょうと言います。何度も打ち合わせをかさね、時間をかけます。
加賀妻工務店では、当社に決めた、そう意思表示を頂いてから、設計で平均6ヶ月、着工引き渡しまで6ヶ月、トータル1年が平均です。
焦って契約すれば、工事途中の追加変更も沢山発生します。工事途中の追加金額は割高です。
契約後の追加変更工事に伴う追加金額はとっても嫌な気持ちです。ですから、時間を掛けて設計打ち合わせをし、変更工事も追加工事もゼロ円を目指します。家づくりに失敗したという人の話聞くと、たいていの人は焦ってしまったと言います。敷地調査から完成引き渡しまで短期間で出来ると思っている人が多くいます。
基本的な事は事前に調べ、少しは勉強しておく事が大事です。たいていの営業マンは、お客様に知識がつく前に契約をしてしまおうとせかせます。
シックハウスや断熱や気密や結露の事、基礎や通気の作り方、設計や大工さんの事、現場管理やアフターメンテナンスの事、ある程度は自分達でおおよその答えを用意しておく事が大事です。素人だから全然解りませんでは駄目です。耳触りの良い言葉には注意してください。お客様が何かを私達に質問をして、その答えや説明が、金太郎飴のごとく、どこから切っても同じ金太郎の顔が現れ、『うん・そうだ・やっぱり・そうだ、そうだ、そうだ』の連呼が沢山出来る事は、共感が持て、良い造り手に巡り合える大事なポイントです。もちろんお互い気の合う事も大切です。
その12
要望を整理しておくこと
家族でじっくり話し合いをして「自分たちはどんな暮らしをしたいのか」ということを整理していって下さい。いろいろ情報があり、混乱するかもしれません。でも、一つ、一つ自分なりに解決していく努力をして行けば、どこかのタイミングで、(うん、こんな感じでいこう)となるはずです。問題は、(実現したい内容が整理できないままに家づくりを始めてしまう事です。)後から不平不満を言う人は必ずあせってしまった、言いなりになってしまった。もっと勉強しておけば良かったと言っています。
その13
家の大きさを考え直してみるということ
自然素材の樹の家は高い、国産材は高い、本当はこうした物を沢山使いたいけど、でも、予算の事があって・・・・・こんな考えを持った人が沢山います。リビングは20畳欲しい、子供部屋は絶対南向きで6畳にクローゼット付、寝室は10畳にウオークインクローゼット付、お客さんが来た時の為に8畳の和室も欲しい、どこのモデルハウスに行ってもこうした事は常識とされています。
最新式の住宅設備機器を装備し床暖房や、エアコンが温度コントロールしています。だから、お客様はこの常識にしたがって、家の大きさと予算がまずありきなのです。
予算は2000万円で40坪の家が建てたい、だから2000万円÷40坪、坪単価50万円でないと建てられないと思い込んでいます。
私にすれば、子供部屋は4畳半で十分、クローゼットも必要ない、寝室も6畳で十分、子供部屋も寝室も寝るときだけの部屋です。客間だってめったに来ないお客さんの為になんて必要ありません。リビングだって家族4人だったら15畳あれば十分な広さだと思います。お打ち合わせを始めてからも、窓は大きくしてここにも、あそこにも付けて明るくしたい、どこでも本や新聞が読めるように、ここにも、あそこにも照明器具を付けたい、バルコニーは南側全面に広く欲しいとか、そのバルコニー何に使うのですか聞くと、洗濯干場、ならば庭で干しなさいと言ってしまいます。こんな調子です。
本当に必要があるのと言いたくなる事ばかりです。
窓だらけの家は落ちつきません。子供は特に落ち着きをなくします。熱ロスにもなります。本が読みたければスタンドを使えば良いです。子供部屋にしてみれば、北向きの部屋のほうが集中出来ます。
私の子供達はリビングの狭いコーナーで勉強をしていました。2人とも志望校へ進学できました。残る中学2年の次男も同じスタイルです。現在長男の部屋は3畳です。
自分の家を造り、生活してみて、実感している事は、大きすぎたなと実感しています。ロフトなんて誰も行かないし、まったく使用しない、2階の洗面化粧台も誰も使わないし、リビングにつなげた和室は物置になっているし、2階のトイレも5人家族なのだけどあまり使わないし。西日は暑いし、カーテンは汚くなるし。そのような具合です。
その14
最後に、ちょっと我慢するという事を話します。
冬に寒すぎたり、夏に暑すぎたりするのは当然良くないのですが、
『ちょっと我慢すれば大丈夫。という範囲であれば良いじゃないか。』という発想を持っておいてください。そうでないと変な所へ行きついてしまいます。
寒すぎず、暑すぎず、がちょうど良いと思っています。冬は寒いから熱々のあんこう鍋やおでんが美味いし、夏は暑いから、うんと冷やしたスイカや素麺が美味いのです。大好きです。
…私こう見えても家では一滴もお酒は飲みません。
ちょっとは我慢する、そういう発想が、温暖化防止や省エネに対して生活に不便や苦痛を感じないで、きちんと持続して出来るのではないかと思います。健康にも良いはずです。
小さいころ良く親に、いろんな意味で我慢しなさいと言われた記憶が沢山あります。欲しい物はお誕生日まで我慢。外食は父親のボーナスが出るまで我慢、そんな事が子供時代の記憶です。
だから手に入れた時は飛び上がって喜んだし、大事にもしました。焼き肉は、なんて美味いのだろうと思ったものです。最近の親は子供に我慢をさせるという事が出来ているのか、疑問です。
『ちょっとは我慢させる』という事は、子供の教育には絶対必要です。我慢できない子供は攻撃的です。我慢できる子供はとても優しい子供です。
便利さばかりを追いかけ、物を大切にしないで、次から次にエネルギーも、食べ物も消費していく、平和ボケのわがまま生活を少し改める時期です。
省エネや環境をキーワードに、最近の住宅は家電化されつつあるように感じて、これは又、住宅が変な方向に行きそうで心配です。人の五感も狂わせています。
照明も給湯も調理も温度のコントロールも機械ばかり、太陽光発電、エコ給湯、エネファーム、電磁調理器、すべて家電に支配されています。電磁調理器はお掃除が楽だから、では良いのでしょうか、魚を焼いたり、野菜を炒めたり、火の見えない調理は小さな子供の教育に良いわけはありません。火の扱いを自然に覚えません。お掃除ロボットも・・・お掃除は教育の原点です。
掃除機では畳の部屋は出来ません。畳が傷みます。箒で畳を履けば畳を傷めません、ぜひ、お子様に箒で掃除をさせてください。
それと、自然素材というものはいわゆる新建材に比べてプロにも扱いが難しく、住まい手も付き合っていくという姿勢が必要になります。人の性格と同じで、最初はきちんと貼れていたのに、そったり、すき間が出来たり。なかには、へそ曲がりもあります。
そもそも新建材がこれほど普及してきたのは、自然素材のちょっとした事に(床の傷・そり・すき間・漆喰や珪藻土の割れや・柱や梁の割れや節、建具の立て付け)そんな、どうしようもない事にクレームを言う人が沢山いたからです。もし、新建材と同じような均一性、汚れや傷の付きにくさを求めたいのなら、そういう人は初めから新建材の家にしておいた方が無難です。もちろん、建築中に無垢の床の上を土足で歩いたり、室内でたばこを吸っていたり、窓を開けたまま帰ってしまったりすればクレームを付けて下さい。怒って下さい。
最後に
今の建築業界を見てみると、一般的に、より良い物を創る努力よりも、より安く、早く造る努力の方が勝っているように思えます。その結果が、既製品の積み重ねであったり、工期短縮であったりしています。それでは、独自性の追求も出来ず、人も企業も、成長していきません、
ましてや、楽しい仕事では無いだろうなと思います。私はいつもお客様に『楽しんで家づくりをしましょう』と話をしています。作り手である、私たちが楽しんで、家づくりが出来れば、お客様も安心して楽しい家づくりは出来ると思います。そのことが、
私たち工務店の作り手としての誇りとプライドです。安心して任せて頂き、家づくりを大いに楽しんでいただきたいと願っています。
不思議な事ですが、楽しんで家づくりをした、その家を見たとき、そのことが家から伝わってきてとても幸せなきもちになります。ぜひ、皆さんもそんな家づくりをしてください。
そして工務店選びをしているお客様へ
本当に家づくりが大好きで真面目な工務店は必ず設計は自社の設計です。プライドが有ります
設計社員が間取りの打ち合わせ、コーディネイトまで行います。
本当に家づくりが大好きで責任感が強い工務店は必ず大工を自社で抱え育てています。
若い大工見習いを採用し、育てています。人を育てる親方の心も育ちます。
本当に家づくりが大好きな工務店はずっと感謝の気持ちを忘れません
定期的なアフターメンテナンスを永く続けています。
お客様は私達に設計を依頼し、施工を依頼し、アフターメンテナンスを依頼している事を再認識してください。