厚板の根太組による水平構面試験の経過

前回のブログに少し書きましたが、
先週、木曜日に
栃木県小山市の関東職業能力開発大学校に行きました。

「厚板の根太組による水平構面試験」を行う為です。

関東職業能力開発大学校の山之内先生、
山辺豊彦構造設計事務所に、ご協力頂きました。
ありがとうございます。

セミナー形式で行われ、
加賀妻工務店の社員、床材の益子林業さんを始め、
無垢材の床を使っている工務店の方も集まりました。

実験の主旨としましては、
「最近の木造住宅において、耐震性能の確保を担保するために、
 2階床組への構造用合板の使用される割合が大いに増えています。
 加えて、最近では、厚労省が、室内濃度の指針値を定めている13の化学物質、
 これ以外の代替物質を使用する建材が増え、
 シックハウスを招く可能性も指摘されています。
 また、15 年ぶりに新たな3 つの化学物質を指針値に加えるとともに、
 4つの化学物質の指針値を強化する方向で検討しているそうです。
 今回の試験では、
 合板を使わない、通常の加賀妻工務店仕様の2階床組で
 無垢材の厚板床・根太組床の水平構面試験を行い、その性能を確認することです。」

山辺構造事務所さんにも、試験の目的について書いて頂きました。
「試験を行うと、とかく高強度を目指しがちですが、住まい手にとっては、
 居住空間が快適で、メンテナンスがしやすく(=施工性・修復性がよい)、
 廃棄するときも有害なごみを極力出さないことが重要です。
 そのうえで設計者は、安心して住んで頂けるように建物の構造性能を
 明示する必要があります。
 そのためには構造性能がはっきりとした「製材による床」のバリエーションを
 持つことが重要で、今回の試験はその一つとして、仕上に使う厚板床の
 床倍率を知ることを目的としています。」

実験の詳細なデータ分析はこれからですが、
合板等の面材の様な、ある程度の変形からの急激な耐力低下にはならず、
杉の梁・根太・床材が、お互いに粘りを見せるような形を見せており、
在来木造の柱・梁組に合っている、床組になっていると思いました。

実際に設計上使っている変形角は1/120近辺らしいのですが、
それを超えて変形しても、今回の仕様は全て、耐力が上昇し続けていましたので、
まだ余力が十分にあると言えそうです。

実験の前までは、どれ位の強度が出るのか多少の不安もありましたが、
予想より、高い数値が出ましたので安心しました。
これで構造計算にも反映でき、実務にも使えそうです。
今までよりも、楽に耐震等級2~3が確保できるレベルになります。

1、2ヶ月先には公的な認定も取れ、実際の設計にも反映していきます。

また、結果報告会と実務での使い方の会を開こうと思います。
高橋一総

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