耐震補強工事

耐震リフォーム
耐震診断が必要な建物
昭和56年以前の旧建築基準法で建てられた建物は、地震に対する安全性に不安があるため、耐震診断を受けることをお勧めします。
耐震診断について
耐震リフォームを実施される方は、事前に耐震診断を受けます。
耐震診断を受けることで、住宅の状態を知ることができるとともに、工事等が必要な場合には、耐震診断士の適切なアドバイスを受けることができます。
耐震補強について
住宅の耐震補強は、リフォーム時に行うことがベストです。
耐震補強工事は、ただ金物を付けるだけではだめです。住宅全体のバランスを考えて行うことが大事です。住宅の耐震補強工事に併せて家具等の補強も行うことをお勧めします。
耐震補強工事の例
【1】基礎・・・コンクリート基礎の打ち増し
【2】梁、柱、土台・・・金物等による補強、柱の増設、土台の取替え
【3】壁(筋かい)・・・筋かいによる補強
【4】壁(構造用合板)・・・構造用合板を用いた耐力壁
【5】屋根・・・軽量化。
耐震補強工事の種類について
■地盤補強
軟弱地盤の場合地盤改良工事となりますが、既存住宅の場合莫大なコストとなり現実的ではありません。
■基礎補強
基礎にひび割れがある場合に打ち増し工事をしたり、無筋コンクリートを有筋にする工事を行います。
■屋根軽量化
日本瓦などの重い屋根を軽量瓦やスレートなどに葺き替えます。
■接合部の強化
昔の家は施工した大工さんにより接合部の補強がまちまちです。筋交いに穴を開けていたりもしています。金物による必要な補強がされていなければ補強工事を行います。
■柱脚の補強
大地震では、筋交いの入った柱に引き抜き力が働きます。
平成12年6月からはホールダウン金物の取り付けが2階建以下の家にも法律で義務づけられましたがそれ以前に建築された家でホールダウン金物がついていない家は、後付で取り付けることになります。
■壁の補強
耐力壁のバランスが悪く偏心率が大きい家は、地震時に建物がねじれをおこして倒壊する危険性が大きくなります。
偏心率が高い場合や壁量が足りない場合は、外壁を剥がして筋交いを入れたり構造用合板を貼り付けます。

【1】地盤を調査して最適な基礎を考える
建物をどんなに堅固に建てても、地盤に適した基礎でなければ建物に亀裂が入ったり、傾いたりします。
過去の地震災害の報告によると、地盤に適した基礎かどうかということが被害の大きさと関係していました。
設計の前に地盤調査を行い、地盤に適した基礎および建物をつくることが大切です。
杭基礎が必要となるケースもあります。

【2】必要な量の耐力壁を設ける
住宅の壁は、地震や風などの水平方向から作用する力に対して抵抗する役割を持っています。
しかし、全ての壁がこうした抵抗力を持つわけではありません。抵抗力のある強い壁を耐力壁と呼びます。
耐力壁とするためには、壁内に筋かいを入れたり、構造用合板を貼り付けるなどの措置が必要です。
耐力壁の量は法律で決まっています!
建築基準法では、建物の屋根の重量に応じて『床面積1㎡当たり○cm以上の長さの耐力壁を設けること』と義務づけられており、耐力壁の長さを算出する必要があります。例えば、45×90㎜の筋交いをたすき交けで2本つけた壁を1m設けた場合、壁倍率は「3倍」であることから、『1m×3倍=3mの壁がある』と算出します。カウントした耐力壁の長さが建築基準法の要求する長さ以上である必要があります。

【3】耐力壁をバランスよく配置する
耐力壁を配置するときには、以下のような点に注意します。
(1)建物の外周、特に建物の隅角部に配置する
(2)上下階の耐力壁の位置はできるだけ一致させる
(3)できるだけ平面的にバランスよく配置する
耐力壁が偏って配置されていると、地震によってねじれが生じ、建物が壊れやすくなります。
また、開口部を設けると壁の量が減るため、壁と開口部のバランスについて検討することが重要です。

大地震から命を守るための耐震補強工事です。まずは、昭和56年以前の建物は、耐震診断することをお勧めします。
加賀妻英樹