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01.自立循環型住宅の考え方で設計プランニングする

自立循環型住宅とは、気候や敷地特性など立地条件と住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用した上で、建物と設備機器の選択に注意を払うことによって居住性や利便性の水準を向上させつつ居住時のエネルギー消費量(CO2排出量)を2000年頃の標準的な住宅と比較して50%にまで削減可能で、2010年までに十分実用化できる住宅をいいます。

すなわち、身近な技術を向上させつつ居住時のエネルギー消費を半減させることができます。『自立循環型住宅への設計ガイドライン』の効果が実証された13の省エネルギー要素技術が有効です。この13の技術を取り入れながら設計を行っています。 具体的には、
・A 自然エネルギー活用
(自然風・昼光・太陽光発電・日射熱・太陽熱給湯利用)
・B 建物外皮の熱遮断
(断熱外皮計画・日射遮蔽手法)
・C 省エネルギー設備
(暖冷房・換気・給湯・照明計画等) になります。
自律循環型住宅評価ソフトを用いて、具体的なエネルギー削減率も出すことができます。


02.次世代省エネルギー基準住宅レベルを目指す

「次世代省エネルギー基準」とは、平成11年3月に改正告示された「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断と基準」及び「同設計及び施工の指針」のことです。日本は3度にわたって住宅の省エネルギー基準が施行されています。

(1)昭和55年に旧省エネルギー基準(低断熱) ⇒50mmの断熱材を壁にいれればよい程度。
(2)平成4年に新省エネルギー基準(中断熱) ⇒寒冷地のみ気密の義務付。窓はシングルガラスの状態。
(3)平成11年に次世代省エネルギー基準(高断熱) ⇒全国に気密、換気計画の義務化に。窓もPGを義務化。

基本的に次世代省エネルギー基準レベル以外は意味をもちません(公庫では今でも旧基準が最低ラインになっています)。各地域ごとに「熱損失係数Q値」が決められています。湘南地区はIV地域でQ値=2.7(W/m2K)以下を求められます。住宅の広告に「Q値」が表示されるケースがだんだん増えてきました。「Q値」は“熱損失係数”といって、室内外の温度差が1℃の時、家全体から1時間に床面積1m2あたりに逃げ出す熱量のことを指します。もちろん小さければ小さいほど熱が逃げにくいので、居住性能がよいとされています。

●計算結果例

03.CASBEEすまい「戸建て」で住まいを評価する

CABEE建築物総合環境性能評価システムはビルなどの一般建築の環境性能をはかるツールとしてスタートしましたが、わかりやすい評価ツールであることから、2007年9月25日にすまい[戸建]の正式版が発表されました。室内環境を快適・健康・安心に考えることと同時に、CASBEEを評価することによって「個人的便益」から「社会的便益」の両者を得ることにつながります。

地球温暖化対策のために省エネルギー化の努力を求められている昨今ですが、環境負荷をただ減らせというだけでは元気が出ません。環境負荷を減らすだけならば何もしないのが一番いいからです。しかし人生の8割を家の中で過ごすわたしたちにとっては地球環境問題も大事ですが、住まいの住み心地も非常に重要で、その住み心地も考慮したCASBEEは高い評価を受けています。平成21年度住宅・建築物省CO2推進事業の補助金交付の申請にも、次世代省エネルギー基準やCABEEすまい「戸建て」のAランクの評価が求められておりCABEEの評価手法が広がりつつあります。

04.OMソーラーでクリーンなエネルギーを自給する

次世代省エネルギー基準の住宅は、断熱に加えて気密性能(C値=5cm/m2以下)も優れています。そのため、昔の住まいのような『個別・間欠暖房』ではなく、小さな熱で家全体を暖かくする『全室暖房』が向いています。その方法としては、深夜電力を利用した蓄熱式暖房・暖炉・OMソーラーなどが挙げられます。

『OMソーラー』は、太陽熱と空気を利用して、床暖房・換気・給湯を行うエネルギー自給型環境配慮住宅です。私たちは、ほどよく涼しければいいのであって四六時中クーラーを回していたいわけではありません。 日向ぼっこの暖かさが嬉しいのであって、むやみに石油を浪費したいわけではありません。お風呂や台所のお湯が欲しいのであって、原子力発電が欲しいわけではありません。 大事なことは、温かさや、涼しさや、お風呂や台所のお湯です。

一軒の家で消費するエネルギーのうち、暖房・給湯・冷房など、熱に関することが約7割を占めています。暖房なら20℃、給湯なら40~60℃もあればいいわけで、それなら太陽熱で十分につくりだせる温度です。OMソーラーは、夏に冬のように低い温度を求めたり、冬に薄着でいられるような温度を得る暖房ではなく、夏は夏らしく、冬は冬らしく過ごしながら、健康的で心地よい暮らしを実現しようという技術です。 そしてその最大の特徴は、太陽という無限でクリーンなエネルギーを用いるという点にあります。

>パッシブデザインとOMソーラーについて詳しくみる

05.温度・湿度の実測を行い温熱環境を検証する

温熱環境に関しましては、自立循環型住宅の設計手法を用いていますが、実際の住まいがどのような温熱環境になっているかを、温湿度計を設置し測定しています。気象庁のアメダスデータから夏と冬の温湿度を読み取り対象日を決め、温湿度データを「温湿度実測データ分析シート」に入力することで、外気温湿度に対する室内の温湿度環境が読みとれます。また、不快指数も同時に出せますので、個人差はありますのでなかなか評価しにくい体感を具体的に捉えることができます。

06.調湿系断熱材セルローズファイバーを使う

セルローズファイバーとは、新聞古紙を再利用して出来た自然素材の断熱材です。セルローズ繊維は植物性の繊維であり、人体に入るようなことがあってもそのまま排出されるため、人体への影響はありません。また、接着剤を使わず綿状のセルローズを吹き込んで施工します。実はこれまで、セルローズを壁面へ施工した場合、上部に隙間ができるという問題がありましたが、吹き込み技術の開発を行い、麻を加えることでこの問題を解決しました。施工も専門技術を身につけた職人だけが施工するので安心です。特徴としては、断熱性能(熱伝導率0.032Kcal/m.h℃)・防音・防火・調湿・結露防止・安全性の高い原料・防虫と防カビ・撥水性能が挙げられます。

耐久性のある省エネルギーな住宅は、イニシャルコストがかかっても、光熱費などをかんがみて長い目で見れば決して割高ではなく、一般的な住宅よりも優れた住宅となります。 そして、重要な事は住んでいる人の快適を追求する断熱工法なのです。断熱材には無機繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール等)と木質繊維系断熱材(セルローズファイバーのみ)があります。木質系なので繊維の中にも細かな穴があり調湿性を持ちます。 壁の中に水蒸気を入り込ませないため、断熱材の室内側にビニールフィルムを施工することがあります。しかし、原理的に水蒸気はとても小さく(10万分の4mm)、壁の中に100%入れないような施工はできません。コンセントボックスや管類、換気口の気密は難しいからです。

株式会社マツナガのセルローズファイバーは「結露の発生を防止する対策に関する基準に代わる構造方法に応じて評価する方法」の認定を受けています。(認定番号:1077)

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